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ときのこえ
2021.11.01(月)

ときのこえ2021年10月号

平和の計画に希望を置いて

 鈴木眞理子

 ミレーの「落穂拾い」の絵画は、貧しい農民の姿を描写しただけではなく、旧約聖書のルツ記に着想を得て描かれたと言われています。ルツという女性は落穂拾いをします。イスラエルでは貧しい人のために、収穫物を取り尽くさずに残しておくようにと定められていました。

 ルツ記について紹介します。
 イエス・キリストが生まれる随分前のこと、神を信じるナオミという女性がいました。ナオミがいたベツレヘムに飢饉が起こり、ナオミは夫エリメレクと二人の息子を連れてモアブの地に移住しましたが、そこで夫エリメレクが亡くなりました。二人の息子はモアブの女性の嫁を迎えましたが、十年の間に息子たちも次々と死んでしまいました。

 故郷を離れ、夫や息子を亡くしたナオミは失意の中にいました。そんな時、故郷の地が豊作であるとの噂を聞いてナオミはベツレヘムへ帰郷します。二人の嫁はナオミを慕っていましたが、一人は実家に帰り、ルツのみ、姑ナオミについて行きました。

 故郷に戻ったナオミは「もう私のことをナオミ(快いという意味)と呼ばないで、マラ(苦い)と呼んでください。全能者が私を不幸に落とされたのです。ここを出る時は夫も子どももいましたが、私はそれらのすべてを失って失意の帰郷なのですから」と口にするほどでした。

 ルツも故郷を離れ異国での生活は大変だったことでしょう。二人とも夫に先立たれた身で、畑もなく、食べ物がありません。ルツは食べ物を求め落穂拾いに出かけました。するとなんと、そこはナオミの夫エリメレクの親戚の畑で、ルツは持ち主のボアズという男性から厚意を受けました。そして、神の不思議な導きにより、やがてボアズと結婚し、ボアズとの間に子どもを授かりました。この子はオベドと言い、オベドの孫がダビデ、またその二十八代先の子孫としてイエス・キリストの誕生へとつながります。

 ナオミとルツは、頼るべき家族を失い、飢饉、貧困の中にあり、苦しみの道を通りました。この時代、女性は男性と同等の権利をもたず、女性や子どもは数にも数えられないような存在でした。しかし、神は彼女たちに目を留め、祝福し、彼女たちは神のご計画の大切な部分に加えられました。

 私たちも、ときに次々と問題が起き、長い間、難しい状況に置かれることがあります。しかし、神は、このように語りかけています。

 「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。そのとき、あなたたちがわたしを呼び、来てわたしに祈り求めるなら、わたしは聞く。わたしを尋ね求めるならば見いだし、心を尽くしてわたしを求めるなら、わたしに出会うであろう、と主は言われる。」(エレミヤ書29章11~14節)

 私たちがどんな状況に置かれていても、神の愛はすべての人の上に等しく注がれ、一人ひとりにすばらしい計画が用意されています。

 落穂拾いの後、ルツとナオミは神の大きな恵みに与りました。神を尋ね求める人に、神は確かに生きて働いてくださるのです。すべては神の御手の内にあります。神の愛の届かない場所はありません。

 皆さんが真の神を見いだし、すべてが神の御手の内にあることを知り、どんな状況にあっても、平安と希望の内に歩まれますように心からお祈りいたします。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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