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ときのこえ
2021.10.01(金)

ときのこえ 2021年9月号

天から来る恵み

 加藤直子

 残暑の続く九月ですが、実りの秋を迎えるのは楽しみです。私は、ある時、知人に連れられて、梨農家の直売所へ行きました。そこで試食した梨がとてもおいしくて、私が感動を伝えると、農家の方が説明してくださいました。その年は日照が良く、甘味が増したのですが、雨が少なく、実はあまり大きくならなかったそうです。そして言われたことは、
「人間がどんなに水をやっても、天から来るものにはかなわないです。」

 天から来るものにはかなわない、と語る農家の方の表情は、すがすがしく、自然の力に対する敗北感ではなく、人間の力を超えた大きなものを見上げるような崇敬の念を、私は感じました。皆様は、何かに人間の力を超えた大きなものを感じることがあるでしょうか。
 
 聖書は、この大きなものを神という存在だと教えています。
「しかし、神は御自分のことを証ししないでおられたわけではありません。恵みをくださり、天からの雨を降らせて実りの季節を与え、食物を施して、あなたがたの心を喜びで満たしてくださっているのです。」(使徒言行録14章17節)

 神は、自然の恵みを通して、御自身の存在を現しておられます。実りの秋に、天から来る恵みを、農家の方と神に感謝して、受け取りたいと思うのです。

 聖書は、もうひとつの天から来る恵みについて、教えています。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネによる福音書3章16節)
 
神がお与えになった独り子とはイエス・キリストのことです。キリストは、人々を愛し、神について教え、神の御計画に従い、人間の罪の身代わりとして十字架にかかられました。このキリストの犠牲によって、神は私たちの罪を赦してくださったのです。さらに、神は、キリストを復活させ、死に打ち勝つ希望を与えてくださいました。それは、神が私たち人間を愛しておられるからです。

 言い換えますと、神の愛とは、あなたを大切に思ってくれる存在がいること、滅びからの救いとは、失敗や過ちを悔い改めて新しく生きる勇気をいただくこと、永遠の命とは、肉体の命が終わっても、その先に続く霊的な命があり、天国での再会という希望があることです。これらは、目に見えませんが、キリストを通して現された天からの恵みです。

 この恵みは、一年中、いつでも受け取ることができます!

 私自身は、十代後半に、過去の過ちを悔い、救いを求めていた時、救世軍で、キリストの救いのメッセージを聞き、心の重荷が取り除かれました。キリストを信じ、歩んでいた二十代後半に、身近な人との突然の死別という悲しみを経験し、なぜこのようなことに? と葛藤が続きました。しかし、再び、救世軍で、キリストの復活のメッセージを聞き、天国への希望を抱けるようになった私は、心の重荷を神にゆだね、平安をいただくことができました。キリストという天からの恵みは、私に神の愛を教え、新しく生きる勇気と希望を与えてくれました。

 農家の方々は、天からの恵みを大地の実りとして私たちのもとへ届けてくださいます。救世軍も、目に見えない天からの恵みを、様様な活動を通して、皆様にお届けしたいと願っております。このために、毎年秋には感謝祭募金をおこなって、皆様からの貴いご支援をいただいています。今年もご協力をよろしくお願いいたします。

 皆様の上に、神様の御祝福が豊かにありますように。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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