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ときのこえ
2020.03.06(金)

ときのこえ 2020年3月号

一年間プディングを食べない? 山谷 真

「春の募金のお願いにまいりました」と挨拶しつつ、私は毎春ごとに募金先をお訪ねします。しかし、 「春の募金」には正式名称があります。「克己週間」です。これはSelf Denial Week(セルフデナイアルウィーク)という英語を明治時代に訳したもので、Self Denial(セルフデナイアル)は、本来「受難節の断食」という意味でした。

教会には昔から、イースター(イエスが十字架での死後三日目に復活したことを祝う日)前の四十日間(受難節)に、肉食を断って、祈りに励み、自分を省みる、という慣習がありました。

それは、イエスが自分の罪の身代わりとなって十字架で死んでくださったことを思い、感謝しつつその犠牲を自ら体験するためでした。イエスの十字架の死と復活を信じる人は救いを経験し、喜んでその犠牲を思いめぐらしたのです。

飽食の時代と言われる現代では、カロリーの摂りすぎが問題視されるので、クリスチャンではなくても普段から定期的な断食をする人が増えているようです。

むしろ憂慮すべきなのは、毎日インターネット漬けで、心も思いもソーシャルメディアに支配されていることではないか、と指摘するクリスチャンもいます。

最近では、受難節が近づくと、 「みなさん、さようなら。祈りに集中したいので、これから四十日間、ソーシャルメディアのアカウントを削除します。イースターになったらまた会いましょう!」というメッセージを投稿し、インターネットから離れるクリスチャンも、じわじわ増えています。

このように、クリスチャンは、受難節、あるいは克己週間を、自分の人生が何に支配されているのかを見極める、良い機会としています。

そのような見極めの中で、私たちは、「ああ、私はいつも、自分が・自分の・自分を・自分に……ばかりの世界で生きていたなあ。これじゃいけない」と気づかされているのです。

 

今から約百三十年前、ジョン・カールトンという救世軍士官(伝道者)がいました。彼は、救世軍が伝道のために使用する物品の製造販売をおこなう部門の責任者でした。

ある時彼は、困難な状況にある海外の救世軍を支援するために、好物のプディングを一年間断ってその分を献金する決心をしました。プディングは、英国人が食後に好んで食べるデザートです。

そのことを知った救世軍の創立者ウイリアム・ブース(大将)は、「プディングを一年間食べないのは、よろしくない。しかし、志はすばらしい。それでは、プディングを一年食べない、などとは言わずに、毎年一週間、みんなが自分の好きな何かを倹約して献金したらどうだろう」とアイデアを示しました。こうして救世軍の「克己週間」が始まりました。

数年後、ジョン・カールトンは、彼がプディング断ちを誓ったことに共鳴した人々からたくさんの献金が救世軍に寄せられたにもかかわらず、誓いどおり一年間プディングを食べなかった、と告白しています。

あなたも今年、一週間だけ自分の好きな何かを断って、自分を省みる時を過ごされてはいかがでしょうか。きっと、自分の心が何によって支配されているかに気づかされることでしょう。そして、″何かに支配されている自分〟から抜け出るために、何かをしてみませんか? 周りにいるだれかに何か親切をする、とか、だれか知らない人のために自分の時間やお金を使う、などです。あなたの軌道を修正できる良い機会になるかもしれません。

「イエスは、わたしたちのために、命を捨ててくださいました。そのことによって、わたしたちは愛を知りました。」(ヨハネの手紙一3章16節)

(救世軍士官〔伝道者〕)

 

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