ときのこえ 2019年11月号

キリストを模範とする福祉活動 西宮 幸治

ときのこえ2019年11月1日

救世軍では、毎年11月の第三日曜日を社会福祉サンデーとして守り、社会福祉とこれに関わる方々のことを覚えてお祈りを献げております。

救世軍の創立者ウイリアム・ブースが一八六五年に英国の東ロンドンで働きを開始した頃、その伝道の対象者の多くは物質的にも支援を必要とする人々でした。ブースは、聴衆の生活水準の改善なしに伝道するのは無意味である、との視点から、簡易宿泊所や食堂、職業紹介や自立支援施設など、人々の身体的・物的ニーズに応える働きを生み出していったのです。

聖書には、
「イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患わずらいをいやされた」(マタイによる福音書4章23節)
と記されていますが、キリストは伝道と並行して、医療や福祉にも関わられました。救世軍の母と呼ばれるブースの妻カサリンは、 
「救世軍はキリストがもし今の世に現れるなら必ず為されるであろうと思われるところを為す団体である。キリストがもし今日この世にお出でになるなら明日は救世軍にお入りになるに相違ない」(『山室軍平選集 ウイリアム・ブース』)との確信をもってその活動を推進しました。

そして、これは今日も変わらない救世軍の主義精神なのです。

「救世軍社会事業及び医療事業は、キリスト教の精神と、救世軍の主義に従い、すべての人の全人的存在の価値を尊び、キリストが一人ひとりを愛されたことを模範とし、キリストに仕えるように個人個人に仕えることをその事業の基盤とする」とその理念にうたわれています。

聖書は、私たちが罪から救われるのは、おこないによるのではなく、神が人類の救い主としてこの世にお遣わしくださったイエスを信じる信仰によることを教えています。と同時に、おこないを伴わない信仰のむなしさについても教えています。
「もし、兄弟あるいは姉妹が、着る物もなく、その日の食べ物にも事欠いているとき、あなたがたのだれかが、彼らに、『安心して行きなさい。温まりなさい。満腹するまで食べなさい』と言うだけで、体に必要なものを何一つ与えないなら、何の役に立つでしょう。信仰もこれと同じです。」(ヤコブの手紙2章15~17節)

「世の富を持ちながら、兄弟が必要な物に事欠くのを見て同情しない者があれば、どうして神の愛がそのような者の内にとどまるでしょう。子たちよ、言葉や口先だけではなく、行おこないをもって誠実に愛し合おう」(ヨハネの手紙一3章17、18節)と呼びかけています。
  
現在、日本の救世軍では、保育所、学童保育、児童養護施設、女性支援施設、アルコール依存症者回復支援施設、高齢者施設、ホスピスを併設する病院や地域奉仕活動、街頭生活者支援、自然災害発生時の緊急支援活動等々を伝道と並行して実施しております。

これらの救世軍の福祉活動の根底にあるのは、神の愛であり、キリストの模範なのです。
  
来月には年末の風物詩と評される社会鍋が実施されます。皆様のご協力をお願い申し上げます。

 生きている 感謝を入れし 社会鍋  井上弘子
 やさしさが 集まるように 社会鍋  柳澤 凛

 (第二回救世軍社会鍋俳句コンテスト入賞作品より)

(救世軍士官〔伝道者〕)

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